トンネルもと暗し?

枝光地区の、もう一つの産業遺産は「くろがね線」です。
かつては、鉱滓線(こうさいせん)とか、
炭滓線(たんさいせん)とも呼ばれた
八幡製鐵所の専用鉄道です。

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1930(昭和5)年に完成し、八幡と戸畑の工場が
「宮田山トンネル」で結ばれました。
地元の人はトンネルがあることは知っていても、
その名前まで知る人は、意外と少ないようです。
(実は私も知りませんでした。)
「灯台もと暗し」ならぬ、「トンネルもと暗し」!

下の写真は、1928(昭和3)年頃のトンネル工事の様子。

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戦中戦後の一時期には、製鐵所の通勤列車としても
利用されていたそうです。

今では「くろがね線」のトンネルも鉄橋も、
枝光ジモティには、見慣れた風景の一つですが、
時折、鉄道マニアの“とり鉄”の方々が
貨物列車を撮影している光景を見かけます。

こちらは、山側(枝光3丁目)から見下ろした鉄橋の姿。
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で、こちらは枝光駅前の県道にかかる歩道橋の上から撮影したもの。
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下は、1930(昭和5)年、完成当時の「くろがね線」の鉄橋。
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鉄橋の下を歩いてみると、今もこんな感じで
当時の橋脚がしっかり踏ん張っています。

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以上、路上観察@枝光
「Part1:近代化の遺産編」でした。

100歳を越える工場。(現役!)

枝光地区にある近代産業化の遺産といえば、
1912(大正元)年に建てられた安田工業の工場が、
枝光2丁目にいまも残っています。

門の外から、約100年前の工場をパチリ!
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安田工業は、日本で初めて鉄製の洋釘をつくった会社で、
この工場の設計者は、辰野金吾(たつのきんご)。
東京駅や日本銀行を設計した日本を代表する建築家です。

隣りの戸畑区にある「旧松本邸」の洋館
(こちらも近代化遺産の一つ)も辰野氏の設計だとか。

では、工場の裏手に回って、パチリ!
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複雑な屋根のラインが面白いですね。
ちなみにこの安田の工場は、前回紹介した
「鉱滓煉瓦(こうさいれんが)」で造られている
最大級の施設なんだそうです。

屋根の向こうには、山の上まで住宅が密集する
枝光らしい光景が写っています。
(つづく)

「向こうのレンガの塀がね…」「へぇ。」

かつて八幡製鐵所の本事務所だった跡地には、
いま、北九州八幡ロイヤルホテルが建っています。
前回の写真を拡大すると、ブライダルフェアの看板と
結婚式用の教会の塔が写っていますね
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さらにホテルの方へ歩くと、長い階段がありました。

この一歩一歩は、
天にも昇るような幸福な結婚を予祝しているのか?
あるいは、
結婚後の苦難の道のりを暗示しているのか?笑 k05
そう、枝光地区は、坂や階段の多いまちでもあります。
→(パート2『坂と階段のまち編」へ

階段を上っていくと、こんな案内板が。 k06 「えー、まだ続くの?」と思っても人生はひき返せません。笑

上りきってホテルの敷地を裏手に回ると、 本事務所時代のレンガ塀を発見。 2代目の本事務所ができたのが1922(大正11)年だそうで、もしかすると、大正期のものかも知れません。 k07ネットで調べてみると、本事務所の建物には 「鉱滓煉瓦(こうさいれんが)」が使われていたそうです。
「鉱滓」とは、鉄をつくるときに生じる不純物で、 これらをレンガの素材としてリサイクルしたものが 鉱滓煉瓦だとか。
ここのレンガ塀も、きっとそうだと思います。(たぶん) k08

では引き続き、枝光にある有名な(?)
近代化の産業遺産をめぐってみましょう。 (つづく)

鉱炉とシャトルの見える街

枝光のまちの歴史は、教科書にも載っている
近代化の産業遺産「八幡製鐵所」とともにありました。
下の写真は、枝光の坂の上からその発祥の地である
東田方面を撮ったものです。
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その昔、八幡製鐵所の構内だった場所には
「スペースワールド」のアトラクションが並び、
中央に建つスペースシャトルの右奥には、
1901(明治34)年に操業を開始した
「東田第一高炉跡」が写っています。

かつて地元を離れ、数年ぶりに帰省したときに
スペースシャトルがどどーんと建ってるのを見て
とてもびっくりしました。

リリー・フランキーさんの小説、
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の
一節にはこう書かれています。

 もう、現在の小倉の街には路面電車の姿はない。あの大きかった製鉄所も立ち並ぶ煙突もない。そして、その跡地にはテーマパークが造られ、なんの冗談かアメリカの宇宙ロケットが展示してあるらしい。(p11)

枝光は、その“冗談のような”スペースシャトルと
溶鉱炉のモニュメントの隣にある町で、
かつては八幡製鐵所の本事務所が置かれていました。
その跡地がちょうど「枝光1丁目1番」にあたります。

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昔の製鐵所の本事務所(2代目)は、
長さ100m以上の堂々たる建物でした。
写真手前に写っているのは1985(昭和60年)に
廃止された西鉄の路面電車です。
懐かしい!
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2013年の夏、かつて電車が走っていた同じ場所を
路上観察しながら、子どもたちと歩きました。
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「昔はね、ここに電車が通っとったんよ」
「ふーん・・・」

(つづく)