この坂道は、(パート1:近代化の遺産編)で紹介した
「宮田山トンネル」の上にある“望玄坂(ぼうげんざか)”。
“玄界灘を望む”という意味で名づけられたようですが、
見えるのは、沿岸部に工場が建ち並ぶ洞海湾(どうかいわん)です。
右側の家の入口にも、専用の階段がついています。
拡大してみましょう。
傾斜地に建つ住宅の多くは、外路面と床面に高低差が生じるため、立地条件ごとに異なる“オンリーワン”の階段が必要になります。
そのため枝光のような坂のまちでは、個性豊かな階段と出会えます。
こうなるともう、階段というよりほとんどハシゴ状態。
勝手口だと思われますが、家の2階の床の高さが、こちらの道路側ではドアの位置になるのでしょう 。
右側の黄色い標識には「行き止り」の文字が見えます。
こちらは崖地の住宅に寄りそうように、細い階段が続いています。(荒手1丁目)
このように枝光地区の多くの階段は狭く、密集した住宅の間を縫っています。通り抜けできない道も多く、足を踏み入れたら、知らない家の玄関先で立ち往生することも。
この街全体が、巨大迷路のアトラクションのようです。
(すいません。誇大表現でした)
こちらの階段を下りると樹海ならぬ、夏草の海。
迷い込んだら、二度と生きて戻れません。
嘘です。そうなると怪談です。
小学生はそんなダジャレをものともせず、長い階段をせっせと元気に上っていきます。こんな坂を毎日上り下りすれば、いいトレーニングになるでしょうが、
われわれ、大人には、手すりが、欠かせません。ふう。
こんなふうにブロックを置いて、段差を小さくした階段もありました。高齢者の多い地域ならではの、やさしい心づかいです。
猫が散歩するブロック塀のかわら屋根も、
ひとつずつていねいに階段状。
小学生がつけたタイトルは「かいだん花だん」。
だん、だんと、上手に韻を踏んでます。
(つづく)